#11 セミナー7日目 オールボー動物園とペットショップのお話
★9月16日(月)
~7日目スケジュール~
10:00~ オールボー動物園
14:30~ オールボーモールへ移動
14:45~ オールボーモール PETWORLD
16:45~ 解散
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1936年開園のオールボー動物園へ。
(※この記事には、肉食動物への給餌用に吊るされた馬の足をアップしています。)
ここはヴィベケ先生が様々な動物のトレーニングを行ったところでもあり、動物行動学者としての先生の原点かもしれません。
写真のトラは、彼が9歳の時共に獣舎内でトレーニングをしていたとか。ヴィベケ先生がトラと一緒に写る写真をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、それが彼です。13歳で他界し、現在ははく製となって動物園を訪れる多くの方へ、動物の行動から進化までを伝える役をしています。
この動物園のコンセプトは、『隠し事をせず、いつでも全てを公開できる運営』とのこと。その為、どういうものを与えているのか?も一般の方へ公開されています。

この日トラやライオンに用意されたご飯は、馬肉と、豚の心臓。その他の動物の為に、白身魚やマスも解凍中
この馬は動物園を支えたいと考える農場からの寄付で、病気以外で亡くなった家畜の寄付はよくあるのだそうです。または、交通事故で亡くなった鹿や、動物園で亡くなったヤギ、シマウマ、キリンも餌となるそうで、冷凍庫の中には、鹿、ヤギ、キリン、トナカイの頭もありました。
亡くなった動物の一部を研究の為に採取することもありますが、専門の獣医師が肉食動物に与えても大丈夫か?をきちんと検査して動物園内の冷凍庫で保存されます。(持ち込まれる馬や鹿、牛も、病気を持っていなかったか?などを動物園の外で選任の獣医師が診察)
園内を歩いていると、滞在中のホテル周辺を歩くより多くの犬に出会います。

マンモスの展示物の前で記念撮影中をお願いして撮らせていただきました。
デンマーク国内の動物園では、犬の入園を断るところもあるそうですが、このオールボー動物園はワンコOK!!園内あちこちに水飲み器が置いてあります。
ただ、子供達のプレイエリアや、動物と触れ合えるエリア、室内エリア、獣舎などは入場禁止でこのマークが表示されています。
デンマークに到着してから思うのは、出会う犬のマナーが兎に角良い!!飼い主さんの知識もさることながら、出会う方々も、やみくもに犬に近づこうとしないところに犬にとっての暮らしやすさを感じました。怖がっている犬がいたらそっとしておいてくれるので、追い込まれることなくそこからの吠えに発展することがないのだと感じました。
(日本でよく目にする、「私、犬の事知ってます!」という方ほど、「大丈夫!大丈夫!」なんて言いつつ近づきすぎていませんか?」)
そして、飼い主さんと共に歩く意識が互いにしっかりしているとも感じました。スマホ片手にとりあえず歩くだけのお散歩をしている人は見受けられませんでしたし、犬の吠え声もほとんど聞きませんでした。

ホッキョクグマの展示前で、とっても素敵な大型のMIX犬を発見!
写真を撮らせて下さいとお願いして近づこうとすると「ごめんなさい、シャイなので」ときちんと私達に言える飼い主さん。もちろん日本人グループはそれ以上彼を追い詰めたりせず、そっと離れました。
隠し事のない動物園が心がけている事に、『出来るだけ野生に近い行動が取れるように…』というのもあります。ランチの後に
- 何故トレーニングするのか?
- ここでのトレーニングについて
- トレーニング方法
のレクチャーを受けました。

クリッカーにターゲットスティック、爪切りetc…
開園当初は、お客さんへの見世物として実施していた動物達の芸は、1987年ごろから「動物の性質」に興味を持つ来場者が増え、これまでとは違うトレーニングはできないだろうか?との変革期に入ったそうです。現在では、動物の精神的健康のためのトレーニング(お客さん向けではなく、動物の為のトレーニング)が実施されています。
現在実施のトレーニングの目的は
- 刺激
- 毎日の世話のため
- 診察の為のトレーニング
- コミュニケーション
の4点で、同園で取り組むオラウータンやアシカ、ミニブタ、ラクダ、レッサーパンダ、等のトレーニングを具体的に紹介してくださいました。

ミニブタのトレーニング風景
講話の最後に、現在ヨーロッパ各地の動物で取り組まれるトレーニングの様子を動画で紹介頂きました。トレーニングのお陰で、様々な種類の動物達が人に協力して飼育舎の移動をしたり、検診を受けたりしていました。以前は少しの診察にも麻酔銃(柵越しにものすごい威嚇をしてきます。)を使用していたトラも、現在は無麻酔で注射を打てるようになっている様子は感動的でした。
動物園最後の体験は、1日に100頭(15分に1頭)も密猟で殺されているアフリカゾウについて。オールボー動物園では、密猟者からアフリカゾウを守ろう!と活動している、ブラックマンバという黒人女性のグループを応援しているそうです。
ブラックマンバのお陰で55%の野生動物が殺されなくなったが、まだまだ絶滅の危険はあり、密猟者が取る象牙の95%が中国へ行き宝飾品や漢方に使われています。どうか、象牙の物を見ても買わないで下さいと飼育員からのお願いでした。

ゾウ舎の内部へ案内頂き、柵なしの至近距離からリンゴやペレットをあげる体験もさせて頂きました。
男性飼育員の合図で大きな口をあけて、歯を見せてくれるアフリカゾウ。
住宅街の中にある動物園は、臭くないことにも驚きました。「こまめに掃除をするから」と飼育員の方からの説明もありましたが、アフリカの動物達が飼育展示されている屋外のスペースでも、排せつ物を見かけることはなく、草木が青々としていました。
一杯一杯のスケジュールの中で、熱望する日本人の為に、ペットショップでのお買い物時間を作って頂きました。

2件立ち寄ったペットショップの1つ
もちろん!!犬・猫・小動物の生態販売はありません。唯一販売されている生き物といえば観賞魚程度。ペット用のオヤツやお洋服は日本の方が種類豊富だなと感じました。が、ハーネスや知育玩具、ベッド、車内で使用する頑丈なクレート、大型犬用のグッツは種類豊富。

デンマークで販売されている「子犬のスターターキット」このセット内容も日本とはニーズの違いを感じます。ベッド、リード、様々なおもちゃ。日本だと、トイレやにが~いスプレーが付くかも
お外トイレ派のデンマークでは、ペットシーツやマナーベルトといった用品はほとんど目につきませんでした。
次回はデンマークセミナー8日目、オールボー動物病院訪問のお話 つづく・・・