#10 セミナー6日目 問題犬のコンサルと開業獣医師ティナ先生のお話

★9月15日(日)

~6日目スケジュール~

10:00~ 問題犬のコンサルティング(理論)
11:00~ 問題犬のコンサルティング(見学)
13:15~ 昼食
14:15~ Tinna Bentzen獣医師 子犬のワクチンについて(講義)
17:00~ 解散

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RPTM施設でのセミナーでした。まず始めに私達日本人にとって、とても珍しいユーロパスポート(インディ君のもの)を見せて頂きました。

 

ユーロパスポートの表紙

ユーロパスポートの表紙

 

表紙をめくるとインディ君の写真に、生年月日、ワクチン接種歴など必要な情報が記載されています。

表紙をめくるとインディ君の写真に、生年月日、ワクチン接種歴など必要な情報が記載されています。

 

このユーロパスポートの他に、インディ君の血統書やサービスドックの証明書なども一緒に拝見しました。インディ君は、ユーロパスポートと、サービスドックの証明により、飛行機の客室への搭乗も可能です。

ユーロパスポートについての説明を受けていると、「問題犬」として私達の前に大きなフラットコーテッドレトリーバーのマティ君 2歳7か月の男の子が到着。入室前に排泄と、コンタクトをとり飼い主さんへの集中をはかること等、事前にアドバイスされていました。

 

犬が興奮している時は、人は冷静に…飼い主さんが床に座り、犬が落ち着くのを待ちます。

犬が興奮している時は、人は冷静に…飼い主さんが床に座り、犬が落ち着くのを待ちます。

 

マティ君の問題点は、「興奮過多」人への飛びつき、興奮からくる腰振り行動が現れます。一見落ち着きのない犬とみられてしまう子も、飼い主さんは手放すことよりもトレーニングをきちんと受けようとヴィベケ先生へ連絡を入れられたとか…。

動物の為の法律が世界的にみても厳しいデンマーク、「エサを与えない」「必要のない苦痛を与える」といった行為は法律違反とみなされます。飼い主さんから相談を受けたビヘイビアコンサルタントがご自宅に伺い、度を越えていると判断した場合には、警察へ通報することもあるとか…ですが、この行為は逮捕を目的とせず、飼い主さんへの注意と会話の為であるとも教えて頂きました。

さて、マティ君のお話に戻ります。

 

どんな時でも飼い主さんへの集中は必要不可欠。知らない人のところへグイッ!といきそうな場合はハンドラーがすぐにボディブロック。

どんな時でも飼い主さんへの集中は必要不可欠。知らない人のところへグイッ!といきそうな場合はハンドラーがすぐにボディブロック。

 

彼のように興奮している犬の場合、最初はリードを離して少し室内を好きにさせてあげます。人に飛びつきそうな場合には、飼い主さんやヴィベケ先生がボディ-ブロックで「ストップ」と伝えます。頃合いをみて「Good」や、「おしまい」の合図を出します。また、興奮しやすい子はマーキング行動もとりやすくなりますが、マーキング行為も止めていきます。

マティ君の入室とともに、ヴィベケ先生のレッスンが始まり、セミナー受講生も興味深々!!盛んに先生や飼い主さんへの質問が飛び交いました。が、ここで関心させられたのは、フリーで動きまわる彼の行動を、飼い主さんがよく見ている事!!飛びつきそうになったり、興奮しそうなそぶりを見せた場合、的確な対処で正しい行動へと誘導していきました。

この様子を見て、日本の飼い主さんも、もっと愛犬の行動に注視しなければいけないなぁ~と感じました。

 

私達も参加して、人との挨拶の仕方の実技。人の前では「お座り」

私達も参加して、人との挨拶の仕方の実技。人の前では「お座り」

 

マティ君が落ち着いたところで、私達も参加して「人のそばを歩く、人との挨拶の仕方」を実施。参加する人の人数を1人→2人→3人と増やして一度休憩、その後2人→3人と同じことを実施していきました。
上手にできたときは、静かにそれでいて協力者全員でとても喜びました。

マティ君の実技や質疑応答に1時間ほど費やした頃、彼のメンタルキャパシティが限界に来る前に退室。問題を抱えている犬のトレーニングでは、特に一杯一杯の状態へ追い込む前に切り上げてあげることも必要だと教わりました。

日本でも、興奮しやすいオス犬へ去勢手術を勧めることよくありますが、マティ君には注射で繁殖の能力を一時的に抑える「ケミカル去勢」が施されています。
今後はさらに社会化を進め、オビディエンストレーニングも実施する予定だそうです。

 

ランチに暖かいジューンシェフのご飯を頂き、午後へ突入!
ヴィベケ先生がとても信頼しているティナ獣医師がワクチンやデンマークでの開業獣医師としてのお話をしてくださいました。

 

左がティナ先生、ワクチンプログラムの他、歯についてご説明下さいました。

左がティナ先生、ワクチンプログラムの他、歯についてご説明下さいました。

 

デンマークにおいて、一般的なワクチンプログラムは

・生後4週齢に2種混合ワクチン
・生後8週~12週齢で1種ワクチン
・その後は12週~16週齢で追加のワクチンを実施し、感染症の報告やその危険性のあるエリアに居住の場合は必要に応じて追加のワクチンを実施するというものでした。
成犬になってからは毎年~3年毎のワクチン接種が一般的だそうです。

最初に接種する2種混合はジステンパーやパルボといった恐ろしい感染症に関してですが、そのほかは、狂犬病・レプトスピラ・ケンネルコフ・ヘルペス・アデノウィルス肝炎に関してだとご説明頂きました。
ドッグトレーニングを実施している犬や、ドッグショーに出る犬は毎年ワクチン接種が必要で、森に入る犬には毎年レプトスピラのワクチン接種が必要だとも付け加えられました。(日本の9種混合、10種混合とは大きな違いを感じました。)ちなみに、デンマークも狂犬病清浄国です。

 

ホテル周辺の公園で、犬をリードに繋ぐこと、排せつ物は片づけてねというマーク。

ホテル周辺の公園で、犬をリードに繋ぐこと、排せつ物は片づけてねというマーク。

 

ティナ先生のお話の中には、獣医師のお立場から、家庭犬がどこをどう触っても受け入れてくれるように育てることがいかに大切であるか・・・の説明と、病院嫌いになってしまった犬へのアプローチや、その飼い主さんに対するアドバイスについても伺うことが出来ました。この点に関しては、日本も同様ですね。
歯科が得意なティナ先生。複数の診察をした犬のお話を紹介頂きながら、歯周病が進行するとこうなりますよ!と画像を用いて分かりやすく説明いただきました。

 

講話中のティナ先生の足元で、愛犬の4カ月のシェルティーパピーがお昼寝。

講話中のティナ先生の足元で、愛犬の4カ月のシェルティーパピーがお昼寝。

 

デンマークでも、乳歯が抜けきれずにのこってしまう小型犬は多いそうで、犬の50%に歯のトラブルがあり、そのほとんどが小型犬だとも。子犬のころから指で歯を触る練習を始め、子供用歯ブラシを使っての食後の歯磨き!がティナ先生推奨でした。

 

次回はデンマークセミナー7日目、オールボー動物園とペットショップのお話 つづく・・・

 

 

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