#8 セミナー5日目 デンマーク空軍基地訪問<前半>

★9月14日(土)

~5日目スケジュール~

10:00~ オ―ルボー空軍基地

16:00~ 解放

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頭に詰め込めない程の前日の説明を受け、14日はトレーニングの様子から、実践を踏まえたパトロール、爆発物探知、麻薬探知、バイトトレーニングのデモンストレーションを見せて頂きました。
デンマーク空軍基地では、「パトロールドック(噛みつくバイトトレーニングを含む)」「爆発物探知犬」「麻薬探知犬」のトレーニングを行っており、そのレベルは世界トップクラス!!2017年にはワールドチャンピオン獲得といった精鋭揃いです。

登場してくれたのは若いボス君(16カ月 オス マリノア)、1か月前に退役したばかりというバーナー君(9歳 オス マリノア)、1か月前までアフガニスタンで任務に就いていたフェロー君(6歳6か月 オス ジャーマンシェパード)の3頭でした。

 

イェスパー大尉の車内、マツダ車後部に並ぶボス君(右)とバーナー君(左)です。この他、犬用牽引車両には、アメリカへ送るためにトレーニング中のジャーマンシェパードも乗車していました。

イェスパー大尉の車内、マツダ車後部に並ぶボス君(右)とバーナー君(左)です。この他、犬用牽引車両には、アメリカへ送るためにトレーニング中のジャーマンシェパードも乗車していました。

 

それぞれに、パトロールと麻薬探知、爆発物探知を仕事としている3頭です。

まずは、オビディエンストレーニング。

 

右がフェロー君、左がボス君。2頭並んでも犬達はそれぞれのハンドラーさんしか眼中にありません。

右がフェロー君、左がボス君。2頭並んでも犬達はそれぞれのハンドラーさんしか眼中にありません。

 

きちんとできればトリーツやおもちゃが貰えます。(もし失敗しても、ほとんどはハンドラーミスだと考えるそうで、犬を責めたりはしません。)3頭それぞれにトリーツを使用するのか?おもちゃを使用するのか?個々に好きなものを使い分けていました。クリッカーも併用していてとても楽しそう。

不審者に対してのバーク(吠える)トレーニングでは、吠える為の最初のステップも実施して下さいました。ここでは、リモコン操作で機械からボールが飛び出る面白いおもちゃを使用。見学を始めて数分で、全てのトレーニングが遊びの延長であることがよく理解できました。

 

バークトレーニング、箱に向かって吠えたフェロー君。中からボールが飛び出した瞬間!キャッチ~

バークトレーニング、箱に向かって吠えたフェロー君。中からボールが飛び出した瞬間!キャッチ~

 

この日登場したのは、マリノアやジャーマンシェパードでしたが、軍用犬の中にはラブラドールも爆発物と麻薬探知犬として活動をしているそうです。

デンマークで軍用犬となるためには、パピー(生後8週目)からトレーナーが担当する場合と、トラブルを抱えて譲渡を受ける場合、スポーツドックからの転向と様々なパターンがあります。トレーニングを始めても、全ての犬が軍用犬として任務に就くのではなく、認定のための各ステップをパスしなければいけません。また、毎年確認のテストも行われるため、ハンドラーは互いの状態を維持し続けなければいけません。

 

パトロールドッグとして私(上野)に吠えるフェロー君。大尉からは「動いたら噛むかもしれないから絶対に動かないで!」と注意が…ちなみに私は彼のおもちゃを隠し持っています。

パトロールドッグとして私(上野)に吠えるフェロー君。大尉からは「動いたら噛むかもしれないから絶対に動かないで!」と注意が…ちなみに私は彼のおもちゃを隠し持っています。

 

軍用犬候補としてパピーの選定を行うのは8週齢ですが、その後生後半年になるまでに21項目のメンタルテストや、身体チェック(レントゲンは6か月と1歳の時にも撮り入念にチェックをするそうです。)が行われます。この間は、ハンドラーさんの家ではなく、フォスターファミリー(一時預かりをしてくれる家族)との生活を送ります。生後1歳で合格と認められた後、フォスターファミリーの家を出て、軍用犬としてのトレーニングが本格的に始まります。

とはいえ、トレーニングをしている軍用犬達は、みなハンドラーさんと一緒に出勤し、一緒に帰宅。自宅では普通の家庭犬として家族との時間を過ごすんだそうです。(犬舎に犬だけおいて帰ったりはしないのです。)

 

合間に大尉に甘えるバーナー君、私達が触ってもすぐに「ころ~ん」と、こんな格好になっていました。

合間に大尉に甘えるバーナー君、私達が触ってもすぐに「ころ~ん」と、こんな格好になっていました。

 

爆発物や麻薬探知のトレーニングで使用する対象物は本物で、両方の探知をする犬はいないそうです。両方の匂いを覚えることは犬にとって可能でも、どちらを見つけたのか?ハンドラーに分からなければ危険だからという理由です。爆発物探知犬が覚える匂いは25~30種でこの中には武器臭も含むとか、また麻薬探知犬が覚える匂いの種類は8~10種。万が一舐めたり、飲んだりした際にはすぐに吐き出させる処置をハンドラーが行うそうです。

どちらの探知でも、見つけた際のマークの仕方はあえて教えず、おすわりでも立ったままでも、伏せていてもオッケー。犬自身が自発的に教え方を学び、それをハンドラーが理解するとの説明でした。

 

1か月前までアフガニスタンでの任務に行っていたフェロー君とハンドラーさん。これは実際使用している装備品の一部です。左下が犬用のベスト。こちらもずっしりしていました。

1か月前までアフガニスタンでの任務に行っていたフェロー君とハンドラーさん。これは実際使用している装備品の一部です。左下が犬用のベスト。こちらもずっしりしていました。

 

次回は麻薬探知や爆発物探知、そしてバークトレーニングなどについて、
第9話 セミナー5日目 デンマーク空軍基地訪問後半へつづく…

 

 

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