#6 セミナー3日目 サービスドッグについて<後半>
私(筆者=上野)が嬉しそうに写っている↑のは、ロットワイラーの男の子!!65キロある身体で優しくもたくましくママをサポートしているVance君(4歳 オス)です。
講和2組目は、私達においしいランチをごちそうしてくださったジューンさん(ちなみにセミナー3日目のメニューは、ハンバーグとポテトサラダ)と、彼女のパートナー犬のVance君、彼はガードドッグとしても、これまでにママを守った実績のある子。ですが、性格的にまだまだクリアできていない点があるとヴィベケ先生が一言・・・そこはシビアに飼い主さんへ伝え、それでもVance君以外に考えられない!と話すジューンさん。
彼女のように、認定試験にパスせずとも自分のためのパートナーとして生活を共にする飼い主さんも少なくないそうです。(どうしても愛犬を認定サービスドッグにしたいと望む飼い主さんに対し、合格を告げられない場合には「時間とお金がもっとかかりますがいいですか?」と、きちんと説明するとヴィベケ先生は付け加えられました。)
ジューンさんは双極性障害、筋繊維痛症、PTSDそのほかの症状を持っており、Vance君は倒れたジューンさんの身体を支える、物を持って来るなどのトレーニングを受けています。今後は、引き出しを開けるサービスの他、知らない場所でパニックを起こしやすいジューンさんの為に、街中を歩くトレーニングを予定しているそうです。

現在取り組んでいるトレーニング風景。上手くできなくても、とても丁寧にジューンさんに伝え、できたときにはみんな一緒に喜びます。
デンマーク国内でサービスドッグの認定を受けた犬達は、全ての病院へ出入りできるわけではなく、あくまでも各病院での判断に委ねられるそうです。
例えば、ある歯医者は金曜日のみサービスドッグの同伴を認めているとか(土曜日に清掃をする為の配慮で、歯科医院へのサービスドッグの出入りは、他の科に比べてもルールが厳しいそうです。)
因みに、デンマークでは裁判に同行するサービスドッグ(裁判犬)のスヌーピー(コッカースパニエル)がいます。
再びトレーニングの様子を見せてくれたサービスドッグのチリちゃんと、ヤンさん。
#2(1日目後半)にもご説明をしてくださいました。どこへでも一緒に行動しているように見えるヤンさんですが、デンマークの法律には、犬の同伴が認められない場所もあるそうです。例えば、レストランのキッチン、スーパーマーケットのキッチン、スーパーマーケットの食料品売り場・・・実際には、店側がルールを決めるそうですが、スーパーマーケットの外で「フセ」で待たなければいけないこともあるそうです。
ヤンさん行きつけのスーパーマーケットでは、チリちゃんを歓迎してくれるそうですが、リードを短く持ち、他の方への配慮を怠らないようにしているそうで、精肉売り場へは出来るだけチリちゃんを連れて行かないように気を付けているともおっしゃいました。
この日はスーパーのレジに並ぶ際の様子を再現してご説明くださいました。

背後に知らない人が立つ事に恐怖心を抱く方は、サービスドッグを自分の背後に座らせます。

ヤンさんは、前にチリちゃんを座らせるそうです。前にいるチリちゃんに意識を集中していると、背後を気にせずこちらの方が楽だと教えてくださいました。
3日目最後に登場してくださったのは、RPTMインストラクターのコニーさんとアイス君(17カ月 ロットワイラー)。チリちゃんにも登場して貰って、犬同士の挨拶の仕方を見せて頂きました。
犬に任せっきりにせず、必要な時にはちゃんと人が助けてあげる。そうすることで、愛犬からの信頼も得られます。アイス君がチリちゃんのお尻に鼻をくっつけたら、すかさず近くにいる人が「ボディーブロック」で正しい行動へと導きます。

コニーさんが、チリちゃんのお尻にくっつくアイス君の前に入ります。

次はヤンさんが、チリちゃんとアイス君の間に入ります。4〜5回でアイス君のこの行動は無くなりました。
サービスドッグは患者さんの程度や、個性に合わせてトレーニングが変わります。精神的サポートの他に、日常生活の身体的サポートもあり、仕事は無限大。日本より進んでいると感じても、まだまだ周知は不十分だとウィベケ先生はおっしゃいました。
ヤンさんの患者としての気持ちも伺い、家族や周囲の理解を得るためのご苦労は、日本と似ているなぁ〜とも感じました。
サービスドッグの講座では、3人の飼い主さんがご自身の体調をおして日本から来た私達のために時間を作り、貴重なお話をしてくださいました。ご自身の診断名を提示しての説明は、精神的にも大変な部分があったのでは・・・と想像しながら伺いました。
実際、予定をしていた1組は、飼い主さん直前の入院ということもありお会いすることがかないませんでしたが、ヴィベケ先生は是非会って頂きたかった・・・とおっしゃるユニットでした。私達の前でお話下さることが、飼い主さんいとっても意味のある事…とのお考えのもとで3日目の講義が実現された事に、感謝しかありませんでした。
次回は、第7話 セミナー4日目 成犬と子犬のトレーニングについて…つづく