#4 セミナー2日目 狩猟犬について<後半>

デンマークの狩猟犬は、大きく4つの狩猟タイプに分けられるそうです。

 

(1)立ち止まって獲物の場所を教える犬

(2)草の中から獲物を追い出す犬

(3)撃ち落とした鳥を回収する犬

(4)巣穴猟を行う犬

 

同国での一般的な狩猟犬は、(2)の草の中から獲物を追い出す犬だそうです。デモンストレーションを見せてくれた2頭は2)・(3)を行う猟犬です。

 

通訳のラウラさん(左)と、ヘンリックさん(右)とミーヤちゃん。雨の中でもお構いなし!デンマークでは人も雨を気にしない!!傘を使う人が少なく感じました。

通訳のラウラさん(左)と、ヘンリックさん(右)とミーヤちゃん。雨の中でもお構いなし!デンマークでは人も雨を気にしない!!傘を使う人が少なく感じました。

 

ヘンリックさんは、子供のころから猟犬との暮らしをしていたそうで、昔と今のトレーニングの違いについても熟知していらっしゃいます。「子供のころ自宅にいた猟犬のトレーニングは、叱るやり方でのトレーニングだったが、現在は犬の失敗は犬を責めず、一緒に解決の道を探せばいい・・・」と。人と犬との良い関係を築くには、「愛情・要求・一貫性」が必要で、「猟犬の失敗のほとんどは、家庭犬としてのトレーニングの失敗からくる」と話されたことが印象的でした。ヴィベケ先生の理論が、しっかりとベースに生きているのを感じました。

午後からのミーヤちゃんとのデモンストレーションでは銃が登場。といっても、銃声のみのトレーニング用のものです。銃声が聞こえたら、猟犬は動きを止めてハンドラーに注意を向けてすぐに「お座り」をします。その後の指示で、大急ぎで回収に走ります。(ヘンリックさんは狩猟期間中約20回の猟に出るそうです。)

 

左に頭だけ出ているのがお仕事中のミーヤちゃん、草丈の高いなかを右往左往・・・頃合いをみてヘンリックさんが銃声を響かせます。

左に頭だけ出ているのがお仕事中のミーヤちゃん、草丈の高いなかを右往左往・・・頃合いをみてヘンリックさんが銃声を響かせます。

 

ミーヤちゃんに、“深い草の中から鳥を追い出す”ように指示をだし、指示された方向を一生懸命に右に左に小走りに走りまわるミーヤちゃん。ミーヤちゃんに分からないように、ダミーを草の中に隠し、銃を撃ちます。すぐにお座りをしてヘンリックさんの指示を待ち、指さされた場所の捜索をして素早くダミーを回収しました。

 

ヘンリックさんのベストには、ダミーやボールがどっさり!すべて2個ずつ対になっているのもトレーニングのため

ヘンリックさんのベストには、ダミーやボールがどっさり!すべて2個ずつ対になっているのもトレーニングのため

 

ダミー回収は、端を咥えたりせず、きちんとダミーの中央を優しく咥えなければいけません。これは仕事である「獲物の回収」中に傷つけたり、落としたりしないために子犬時からトレーニングを受けるそうです。その後、室内にもどり、子犬のころから取り組むトレーニングについて、動画で説明頂きました。

 

筒状に丸めた新聞を咥えて人の手の中に運ぶパピー

筒状に丸めた新聞を咥えて人の手の中に運ぶパピー

 

トレーニングに集中できるよう、環境管理もしっかりされていました。画像のパピー(生後3か月)のトレーニングでは木製の手作りサークルの中で、クリッカーを使ったトレーニングが実施され、リズミカルにステップアップしていく様子を見ることが出来ました。一畳ほどのスペースでの持来トレーニングを行い、しっかりと行動が定着したのちにトレーニングスペースの広さを広げています。

 

スペースは広くなってもハンドラー1人に犬1頭の状態。このころには、筒状にした新聞紙ではなくもう少し固い素材のもの

スペースは広くなってもハンドラー1人に犬1頭の状態。このころには、筒状にした新聞紙ではなくもう少し固い素材のもの

 

興味深い猟犬のトレーニングについて、参加者からの質問は尽きることがありませんでした。しかし、どの質問にも丁寧に答えて下さるヘンリックさんの紳士的なお人柄と、ヴィベケ先生との信頼関係の深さが伺えました。

次回は年明けに「セミナー3日目 サービスドックについて前半」をお届けいたします。

 

 

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