#2 セミナー1日目<後半>

1頭のサービスドッグの育成には70,000DKK(デンマーククローネ、1DKK=¥18.18 ※2019年9月のレート)の費用がかかり、ほとんどを飼い主さんが負担します。

サービスドッグを希望する飼い主さんの意向を聞きながら、パピーの選定を行い、トレーニング開始前にも素質テストを行い、その後も各ステップでの確認テストが実施されます。

この時、犬だけではなく人(飼い主さん)の素質やコミュニケーション能力のチェックも行われ、総合的な判定が行われます。認定されると、デンマーク認定(国認定)のサービスドッグとして認められます。近年では、近隣諸国からRPTMでトレーニングを受け、自国でサービスドッグとして仕事をしている犬もいるそうです。

インディ君のトレーニングの様子と合わせて、現役でヤンさんのサービスドッグとして仕事をしているチリちゃん(G・R 5歳 牝)のお話を伺いました。

 

サービスドッグとして活躍中のチリちゃん

サービスドッグとして活躍中のチリちゃん

 

チリちゃんはもともと別の飼い主さんが家族に迎えた犬でしたが、国外への転居により、生後6か月でヤンさんのもとに来ました。飼い主であるヤンさんは、チリちゃんに子供の為のサービスドッグとして育てられないか?と、チリちゃんを迎えて3~4か月後からヴィベケ先生の下でトレーニングを開始しました。

順調に進んでいたトレーニングでしたが、ある時期からチリちゃんに落ち着きがなく、ヤンさん自身も集中できず失敗を繰り返すようになり、鬱状態になっていることが判明。ヤンさんは仕事のストレスから鬱になり、恐怖症との診断が出たことから、「自分の為のサービスドッグ」としてトレーニング内容を変更、現在は認定サービスドッグとしていつも二人三脚で生活をしていらっしゃいます。

 

写真は歯科受診のためのトレーニングの様子。

目を隠し、扉が見えない状態で横になることに不安を感じるヤンさん。チリちゃんのお仕事はヤンさんの身体にそっと顎をのせて「私がここにいるよ」と寄り添う事。チリちゃんに意識を集中することで、ヤンさんの不安が和らぎます。

チリちゃんは、デンマーク初の映画館への入館を認められたサービスドッグとしての認定を受けているとのこと!次は歯医者の診察室まで同行できるサービスドッグを目指しているそうです。(この記事が読まれる頃には、その勤めをしているかもしれませんね。)

繊細なところまで説明をしてくださったヤンさんとチリちゃんには、それぞれのIDカードがあり、仕事中はサービスドッグのロゴ入りハーネスと、このIDカードを共に持ち歩く必要があります。

 

一方インディ君は、下記のトレーニング内容を見せてくださいました。

 

・ボールプール

・トランポリン

・吊るしたアルミ缶の間を通る(アルミ缶の音や身体にアルミ缶が当たることにも慣れるように)

・シルバーカー(手押し車)

・ベビーカー

・滑り台

・病院の電動ベッド

・バランスボール

・様々な材質の上を歩く

・ポールの間を歩く

 

電動ベッド上でのトレーニング

電動ベッド上でのトレーニング

トランポリンを使ったトレーニング

トランポリンを使ったトレーニング

 

サービスドッグとして働くそれぞれの犬が、現場で戸惑うことがないように、施設でできる限りの実践トレーニングを実施されている様子が分かりました。
インディ君は子供達との遊びを想定し、ボールプール内での「伏せ」や、ボールを身体にわざと当てる、アルミ缶が近くに落ちることなどをトレーニングし、チリちゃんと一緒にベッド上で患者さんに寄り添うお仕事風景も見ることが出来ました。
その他、車いすに寄り添って歩く、人の支えとなり立ち上がるサポートを行う等、仕事の種類は様々で、飼い主さんのサポートに必要とされる動きを、その都度教えていきます。

 

実技トレーニングの合間に、ヴィベケ先生がおもむろに自宅から運んで見せて下さった骨。本物のジャーマンシェパード・狼・コヨーテ・ホッキョクグマの頭部と、ジャーマンシェパードと狼の足跡の石膏を用いて、動物の進化のお話、野生動物と犬との違いを説明頂きました。

 

左から、ジャーマンシェパード、狼、コヨーテの頭骨

左から、ジャーマンシェパード、狼、コヨーテの頭骨

 

レプリカではなく本物の骨が登場し、思わず手が引っ込んでしまう方もいらっしゃいました。立派な狼の頭骨との比較で、歯並び・歯の大きさの違い・歯根の深さの違い・脳の大きさ・筋肉の付き方の違い・顎の大きさの違いはとても興味深い犬への進化を知ることが出来ます。
(上の写真を見ると、狼やコヨーテに比べてジャーマンシェパードの歯間が空いているのが分かるかと思います。)

 

ホッキョクグマの頭骨も登場し、鼻の内部に海綿状の骨を見ることが出来ました。

 

ホッキョクグマの頭骨

ホッキョクグマの頭骨

 

人間にはないこの器官のお陰で、動物達は私達以上に嗅覚の能力を発揮出来るのだそうです。

 

つづく・・・

 

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