犬にとってのストレスとは何か?Part2(3回シリーズ)弱った免疫システム

2018年7月

文:ヴィベケ・S・リーセ / 訳:吉永優子 CPDT-KA

犬にストレスがかかると、身体は「闘争か逃走か(闘うか逃げるか)」のメカニズムによってホルモンのコルチゾールを分泌します。コルチゾールはストレスの多い出来事に対して、血流を筋肉に向かわせるなど、身体が反応するのを助けます。しかしストレスが慢性的になると、コルチゾールもまた、免疫システムを弱めるなど問題の原因となります。エミー賞を受賞した獣医師のジェフ・ウェーバー博士によると、「ストレスによって免疫が抑制され、最終的に犬は感染症や病気と闘うことができなくなります。だから犬のストレスレベルを最小限にすることが重要です:そうしないと、時間と共に軽度な問題は大きな問題に発展する可能性があるのです。」

 

このよい例は、ダニが原因となる皮膚病の毛包虫症(アカラス症)です。「ニキビダニはほとんどの犬の皮膚に存在しています。しかし身体がストレスに晒されると、ダニは皮膚のある部分で繁殖し、明らかな感染症を引き起こす」とウェーバー博士は言います。また、毛包虫症(アカラス症)は多くの場合未熟な免疫システムが原因となり、通常子犬にも診られます。

 

下痢

ストレスの多い状況では、身体はもう一つの「闘争か逃走か(闘うか逃げるか)」ホルモンであるアドレナリンも放出します。コルチゾールと同じく、アドレナリンは犬が差し迫った脅威から生き延びるのを助けることができます。例えば、アドレナリンは心拍数と血圧を増加させます。しかしこれらの一時的な利点は不都合な面も伴います。「アドレナリンは胃や腸への血流を減少させるので、結果多くの犬が下痢を引き起こす可能性がある」と獣医師で作家のハンス・ブリンカー博士は言います。ストレスによる下痢はしばしば突然起こり、通常は他の症状(発熱や吐き気)を伴いません。

 

問題行動

前述の「闘争か逃走か(闘うか逃げるか)」反応は、実際には4つのFがあります: 闘う(Fight)、逃げる(Flight)、固まる(Freeze)、そして落ち着きがなくなる(Fidget)。ブリンカー博士によれば「ほとんどの犬は脅威を感じるものから逃げようとします。しかし、もし彼らが逃げることができないか、攻撃によってその状況から脱出できると学習していたとすると、彼らは逃げる代わりに攻撃的な行動をするかもしれません。犬が闘うか逃げるか決断するまでの数秒の間、「固まる」状態が起こります。」

 

最後に、落ち着きがなくなるのがおそらくストレスを感じた犬に認められる最も普通の反応です。「落ち着きがなくなるのは、犬にとって逃げたり攻撃したりすることなく余分なエネルギーを解消する一つの方法だ」とブリンカー博士は言います。「彼らは、行ったり来たりしたり、ハアハアしたり、身体をブルブルッとさせたり、舌なめずりをしたり、身体を掻いたり、あくびをしたり、穴をほったり、その状況下では全く意味のない別の行動をする可能性があります。」

 

以上、 真心をこめて

ヴィべケ・S・リーセ RPTM デンマーク

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