犬に愛情や安心を伝える存在であれ。

コラム その他 2018年9月21日 

文:B-Paws 中沢俊恵,CPDT-KA

私たち人間は犬よりも偉いのでしょうか?
どうして犬に“命令”を出したり、従わせようとするのでしょうか?

私たち人間の脳はたいへん複雑ですし、私たちの手先は器用で様々なことが出来ます。私自身は英語を話すことは出来ませんが、多くの人は複数の言語を操ることが出来ます。
難しい方程式を解くことが出来る人もいれば、物を作り出せる人もいます。想像力を働かせて、未来を創造していくことが出来ます。様々なことが出来ます。
しかしそれらは、人がその他の動物たちに対して偉くて立派であると云うことにはならないはずです。

犬と人とは異なる動物であり、その他の動物もすべて、いずれにも甲乙はつかないものです。
私たちホモ・サピエンスの歴史は浅いですが、例えばサメは4億年以上もこの地球に順応して存在し続けています。環境を変える力は持たずとも、環境に順応して変化を続けては困難を乗り越え子孫を残してきたサメ。
どちらが強いか偉いか、ではありません。
犬も人も、サメも、“今”に至るまで互いに厳しい自然淘汰を潜り抜けて、それぞれが生き抜けるように進化してきた別々の動物に過ぎないのですから、犬が人より劣っているなどと云うことは決してありません。

骨を噛み砕くほどの力を持つ立派な犬歯を持っている大きな犬が、そうはせずに隣に居てくれるのは何故でしょう。
小型犬の犬歯でも人の皮膚にダメージを与えて大きな傷を与えることができるのに。
(犬が牙を剥き、私たちを攻撃の対象としてしまうときには、それ相応の理由があります)

人の手は犬に痛みを与えるのではなく、愛情を伝えるものであって欲しい。人の存在は犬に畏怖を与えるのではなく、安心感を与えるものであって欲しい。
同じ言語を持たない異なる種族だからこそ、こうしたごく基本的な部分を大切にしたいと私は思います。
犬を従わせようとするのではなく、犬に協力してもらえるように工夫するのが正しい関係性。犬にも拒否権はあっていいと思いますし、私たちの脳が複雑であるのならば、犬に受け入れてもらえるように工夫を考えればよいと思うのです。それが出来るのが私たち“人間”なのだろうと思うのです。

犬を“訓練”するのではなく、犬に人と“共生”する術を伝えようと云うヴィベケの考え方が、日本の犬と人との在り方にどんな影響を与えてくれるのか、いつも楽しみでなりません。
まもなく始まるヴィベケの2018秋セミナー、今回もまた素晴らしい話を聴かせてくれることでしょう!

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