犬に”心”はあるのか?

コラム 2018年7月18日 

文:B-Paws 中沢俊恵 CPDT-KA

“心”とは何なのでしょう?

私たちは自分自身に“心”があると感じているし、それが当たり前のことであると思っています。

 

もうずっと昔、私がドッグトレーナーになるよりもっと以前、友人と『イルカに感情はあるか?イルカは言葉を持っているか?』ということを一晩中議論していたことがあります。

私は「ある!」、友人は「ない!」で激しく意見が分かれ、一晩ずっと議論したのにも関わらず答えは出ないままでした。

 

かつて、犬はもちろんのことながら動物には“心”がないとされ、「人間以外の動物は様々な刺激に対して機械的に反応しているだけだ。何の欲求も持たず、あくまでも機械的に生きているのだ。」と言われていました。

もちろん、こうした考えに対して異論を唱える人々もいましたが、論争をまとめる為のこれといった決め手は出てきませんでした。

こうした論争に一石を投じたのが、ダーウィンの『種の起源』。「人間の肉体と同様に人間の脳や心も動物を経て進化を重ねてきたのであり、動物も決して機械のようなオートマティックな存在などではなく、今もこれからも進化をしているのだ」というダーウィンの考えは世の中に大きな影響を与えたそうです。

 

現代では科学が進歩し、様々な角度から動物を研究することが可能となり、昨今ではMRIを用いた研究から犬も感情があると云うことが科学的にも証明されました。

 

犬と共に暮らしていたら、犬に“心”がないとはとても思えません!私たちは日常の中で犬の感情の変化を何度も目の当たりにします。

大好きな家族の帰宅を全身で喜び、家族の外出をしょんぼり見送り、心地よい寝床を求めてウロウロしたり、新奇な物に興味を示すときのドキドキ感も全身から伝わってきます。知育玩具に詰まったオヤツを取るための様々な工夫もして見せてくれます。その様子からは「このオヤツが食べたい」と云う犬の欲求を感じます。

真っ赤に染まる夕焼けを見て「美しい夕焼けだ!」と感じているかどうかはわかりませんが、少なくとも、ごく単純な喜怒哀楽の感情表現や欲求は至る場面で表現されていることは間違いなく、多くの愛犬家はそうした愛犬の感情を日々感じていることでしょう。

私自身「わざわざMRIで脳をスキャンしなくてもわかるのに!!それこそ、“心”で感じなさいよ!」と、つい思ってしまいますが、感情に左右されることのない科学的なデータは重要ですし、科学的に証明されたデータがなければ信じることができない人もいるものです。

 

犬の行動だけに着目すると、応用行動分析学に当て嵌めて考えていくことができますが、私は行動の他に“心”や“感情”もそこに存在していることを忘れたくはありません。

犬のトレーニングをおこなうとき、犬が楽しく学べるようにすると学習効率が上がります。厳しく強制的な方法でも犬はある程度まで学習をすることは可能ですが、楽しくポジティブな方法を用いた方がより効果的に学習することができると云う実験の結果も出ています。

 

犬に“心”はあるのか?

ヴィベケなら、この問い掛けに何と答えてくれるのでしょうか・・・? 

 

B-Paws 中沢俊恵CPDT-KA